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「なぜか動けない…」先延ばし癖は怠慢じゃない―札幌の公認心理師によるカウンセリング

札幌も暑い日々が続くようになりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

今日は私自身のテーマでもある「先延ばし」についてのお話です。

このメッセージが、あなたの心を少しでも軽くする助けになれば幸いです。

 

 

完璧主義という名の檻

 

 

 

 

 

「先延ばし癖」と聞いて、あなたは自分を責めていませんか?

 

「また今回もできなかった」「どうして自分はこんなに怠け者なんだろう」と。

アルアルですよね。

 

しかし、私が心理カウンセリングの現場で多くのクライアントさんと向き合う中で、間違えなくいえるのは、先延ばし癖のある人ほど、実はすごく丁寧で誠実な人が多いということです。

 

先延ばし癖が心理的なストレスとなる根拠

 

 

 

 

先延ばし癖は、単に「後回しにする習慣」ではありません。

 

それは、私たちの自己肯定感や精神的な健康に深刻な影響を及ぼす心理的な問題です。

 

多くの研究が、先延ばし癖とストレス、不安、そして抑うつの間に強い関連性があることを証明しています。

 

タスクを先延ばしにすると、一時的に「やらなくて済んだ」というほっと一息します。しかし、その安堵感は長くは続きません。

 

タスクが未完了のまま頭の中に残り続けることで、常に漠然とした不安感や罪悪感を抱えることになりますよね。

す。

 

この状態は、心理学では「ツァイガルニ効果」として知られており、人は未完了のタスクを完了したタスクよりも強く記憶し、心の負担として感じやすいという心理現象です。TV番組で「〇〇はCMの後で!」とよく見かけますが、この心理状態を利用したものです。

 

しかし、先延ばし癖は、自己評価の低下にもつながります。

 

自分自身が設定した目標を達成できないことで、「自分はダメな人間だ」「意志が弱い」といったネガティブな自己認識が強化されていきます。

 

この負のループが、さらに次のタスクへの着手を困難にし、ストレスを増幅させていくのです。

 

完璧主義と聞くと、聞こえは良いかもしれません。

 

しかし、それが過剰になると、時に私たちをがんじがらめにしてしまう「檻」になってしまいます。

 

この檻の鍵を握っているのは、「ちゃんと向き合いたい」「中途半端なことはしたくない」という強い思いです。

 

そんな思いが強すぎて気がつけば時間だけがが過ぎていく・・身に覚えが有る方は多いのではないでしょうか。

 

例えば、新しいプロジェクトを任されたとしましょう。あなたは、最高の成果を出したい、誰にも文句を言わせない完璧なものにしたいと考えます。

 

しかし、頭の中ではその理想が膨らんでいく一方で、「今の自分にはそこまでの力がないかもしれない」「失敗したらどうしよう」という不安が同時に大きくなっていきます。

 

この、理想と現実のギャップこそが、あなたの足を止めている原因です。

 

やる気がないのではありません。

 

むしろ、やる気がありすぎるからこそ、理想が高くなりすぎてしまうのです。

 

怠慢なのではなく、むしろ真面目すぎるがゆえに、完璧な状態ではないと一歩を踏み出せない。これが、先延ばし癖の根っこにある心理です。

 

 

完璧主義の罠から抜け出すための視点

 

 

 

では、このループからどう抜け出せば良いのでしょうか?

 

私たちは、完璧な状態になるまで動いてはいけないという「完璧主義の罠」にはまりがちです。

 

しかし、実は完璧な状態で物事が始まることなどありません。

 

重要なのは、「不完全でも、始めることに意味がある」という視点を持つことです。

 

この視点を手に入れるための具体的なステップを、いくつかご紹介します。

 

  1. ハードルを極限まで下げる

 

大きなタスクを目の前にして圧倒されているなら、そのタスクを**「これならできそう」と思えるくらい小さな一歩に分解してみましょう。

 

  • 「プレゼン資料を完璧に作る」→「プレゼン資料のタイトルだけ決める」
  • 「部屋全体を掃除する」→「机の上の一箇所だけ片付ける」
  • 「ブログ記事を2000字書く」→「ブログ記事の導入部分を100字だけ書く」

 

一見、非効率に思えるかもしれません。しかし、この「小さな一歩」を踏み出すことで、あなたの心の中に「できた!」という小さな成功体験が生まれます。この成功体験の積み重ねが、次の行動への大きな原動力になるのです。

 

  1. 20秒ルールを試してみる

 

これは私がよく使う手段の一つです。

 

行動を起こすまでの「最初の一歩」にかかる時間を20秒以内に短縮するというシンプルなルールです。

 

人は、何かを始めるまでの手間が20秒以上かかると、やる気が失われやすいと言われています。

 

例えば、

  • 運動を始めたいなら、ジムウェアを前日のうちに手の届く場所に置いておく。
  • 読書を習慣にしたいなら、ベッドサイドテーブルに読みたい本を開いて置いておく。
  • プレゼン資料を作り始めるなら、PCを立ち上げて、ファイル名を付けておく。

 

こうすることで、行動を始めるまでの心理的・物理的なハードルが下がり、「とりあえずやってみるか」という気持ちになりやすくなります。

 

  1. 質より量を優先してみる

 

完璧なものを目指すあまり、一つのことに膨大な時間を費やしてしまう。

 

そんな時は、「まずは量をこなす」という思考に切り替えてみましょう。

 

  • アイデア出しの段階では、完璧なアイデアを一つ出すのではなく、とりあえず10個、20個とアイデアを書き出してみる。
  • 文章を書くときも、完璧な表現を追求するのではなく、まずは頭の中にあることをひたすら書き出してみる。

 

質を求めるのは、その後の段階で十分です。まずは「アウトプットする」という行動そのものに価値を置きましょう。

 

  1. 「70点でもOK」の精神を持つ

 

「完璧」を目指すと、100点に満たない結果はすべて失敗のように感じてしまいがちです。

 

しかし、現実世界で完璧な100点を出し続けるのは無理です!

 

そこで、自分の中で「ちょうどいい不完全」を許してあげましょう。

 

「この資料は70点でも十分価値がある」

 

「ブログ記事は、完璧ではないけど、誰かの役に立つかもしれない」と、まさに今私は自分に優しく語りかけています。

 

完璧主義を捨てるのではなく、「雑でも進めることに価値がある」

 

そうすることで、心にゆとりが生まれ、新しいことに挑戦するエネルギーが湧いてきます。

 

 

札幌で自分らしく生きるために

 

 

 

 

あなたが先延ばしにしてしまうのは、決して怠慢でも無責任でもありません。

 

それは、あなたが大切な人や仕事に真剣である証です。

 

完璧を目指す姿勢は、とても尊いものです。

 

しかし、その真面目さがあなた自身を苦しめているのであれば、少しだけ視点を変えてみる勇気を持ってみませんか?

 

札幌という街には、大通公園の木漏れ日、円山公園の自然、そしてカフェなど、心を落ち着かせる場所がたくさんあります。

 

もし先に進めない時には、いつもと違った場所で、手を付けてみるのも良いと思います。

 

また、完璧主義の背景には生育環境の影響で、誤った信念を持ち続けている事も有ります。

 

もし、完璧主義という名の檻から抜け出せずに苦しんでいるなら、一人で抱え込まずに、専門家のサポートを借りるという選択肢も考えてみてください。

 

「完璧じゃない自分」を許すことは、優しさや誠実さを伸びやかに花開かせるとも言われていますよ。

 

 

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