新型コロナウイルスが引き起こす家庭内の問題
こんにちは。札幌ストレスカウンセリング銀のすずPremiumです。GWも「ステイホーム―おうちにいよう―」が継続されそうな気配ですね。
今回のテーマは「コロナDV」「コロナ離婚」「家庭内不和」などなど。新型コロナウイルスが引き起こす家庭内の問題について、役立つ情報をお届けします。
そもそもDVとは?
最近よく耳にする「DV」。正しい意味を知っていますか?言葉の印象から、身体的な暴力のみを連想される方が多いかもしれませんが、正しくは心理的、経済的、性的なものも含む、家庭内暴力の総称です。また、夫婦間だけでなく、内縁のパートナーの間で行われるものや、子どもから親への暴力もこれに該当します。
従来のDVについては、当院ホームページ【夫婦関係・恋人関係の悩み】のコーナーもご参照ください。コチラ⇒https://www.ginsuzu.jp/example/nayami-12
ここで注意したいのが、DV等々の問題はコロナの流行に関わらず、以前から一定数あったということです。ではどうして、DVや離婚、家庭内不和といった家庭内の諸問題がコロナ禍に頻発しているのでしょう?
コロナ禍で家庭内の問題が生じやすいメカニズム
新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う外出自粛は、各家庭に様々な変化をもたらしています。
いつも仕事や学校でいない家族と一緒に過ごすことが増えれば、生活リズムにも変化が生じるでしょう。家事や子育ての負担も増えることが予想されます。外に働きに出ていた方はテレワークの効率の悪さにストレスを感じるかもしれません。そもそも、「仕事に出る」ということは、家庭の外に自分だけの世界を持つことでもあります。そうした世界が、一時的であってもなくなることで、心のバランスが崩れてもおかしくありません。
また、いつ収束するとも知れない毎日の中で、家庭の経済的な不安も日に日に大きくなっていく…。ストレスはたまる一方なのに、遊びや仕事は制限され、気持ちの整理が難しいのが現状です。
こうしたストレスフルな環境では、もともとあった家族への不満に気づきやすい心理状態へと陥ります。そして、不安定な社会への行き場のない苛立ちや怒り、不安といったネガティブな感情が、家族への不満と一緒になって、家庭内の弱い者へと向かいます。結果、DVが深刻化したり、医療崩壊だけではなく家庭崩壊までが深刻となり…といったまさにコロナのおかげでネガティブ感情の感染者が増加して、さまざまな問題が起こってきていると推測されます。
コロナに負けない「家庭力」を高めるために
ここからは、コロナ禍という異常事態に負けない家庭を作っていくために、今できることを2つお伝えしたいと思います。
一つ目は、いつも以上に夫婦間でのコミュニケーションをとることが大切です。コロナ禍では、外出自粛の程度や利用する保障制度など、家族で足並みをそろえる必要のある事柄が多く生じています。自分の「当たり前」が相手は「ありがとう」という言葉を期待しているなど夫婦間で違うことも少なくありません。こうした時だからこそ話し合いを通してお互いの考えを共有し、すり合わせていくことが大切です。家族であっても、お互いを自立した個人として敬意を払う姿勢を意識することは、家庭内の問題に対する有効な予防策となります。
二つ目は、心理的、物理的にソーシャルディスタンスを十分に保つことです。普段からそれほど良好な関係でなければ、長時間顔を合わせるからと言って無理にコミュニケーションをとることを避けた方が良い場合もあります。普段していないのですから下手に決まっています。つい地雷を踏んで起こさなくてよい問題が起きやすくなります。
この外出自粛期間、家族が穏やかに過ごすためにお互いにとってちょうど良い距離感の見極めが必要です。
また、ストレスが限界に達したときは、外に助けを求めることが大切です。「外」とは、実家の家族や、親戚、友人、公的な相談機関、あるいは当ルームでも構いません。家族ではない他者と話し、心の風通しを良くしましょう。家族以外の考えをきいたり、助言を受けることは、状況の打開につながるだけでなく、ご自身のストレスマネジメントとしても有効です。特に、DVでは被害が深刻化する前に専門機関に相談することが大切です。当ルームでは、DV家庭が給付金を夫婦別で受け取る方法など、現実的な問題への解決方法についても適切に情報提供させていただきます。
最後に。先の見えない今、不安なお気持ちはとてもよくわかりますが、コロナは必ず収束します。心理学の世界では、精神が不安定な状態で、お金の貸し借りや、高額な買い物、結婚や離婚といった今後の人生に関わる大きな決断はしないことを推奨しています。心が不安定な状態では、だれしも物事を冷静に考えることが出来ず、自分なりに最適な判断をすることが難しいからです。今はまさに、社会全体が〇〇崩壊で、だれもがふわふわとしている状態。例えば、離婚するか/しないか、という現実的な決断は少し先送りして、その背景をじっくり考えることをおすすめします。
ひとりで考えるのが難しいと感じたら、ぜひご相談ください。一緒に考えていきましょう。家族の問題に直面してしまった時は、今までのご自身の歴史や家族の絆をこれからに紡いでいく良い機会と捉えてみましょう。
参考ページ:夫婦関係 恋人関係の悩み
参考資料:『新型コロナウイルス流行時のこころのケアversion1.5』(緊急時のメンタルヘルスと心理社会的サポート(MHPSS)に関する機関間常設委員会(IASC)リファレンスグループ, 2020)、『新・心理学の基礎知識』(中村義明・繁桝算男・箱田裕司編,2005)、
『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』(日本精神神経学会(日本語版用語監修),髙橋三郎,大野裕(監訳),2014)