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こどもの日

 

 

こどもの日

5月といえば端午の節句、

つまりこどもの日がある。

日本では鯉のぼりや兜を飾り、

柏餅やちまきなどを食べて、こども、

特に男の子の成長を祝う風習がある。

 

由来としては、紀元前340年ごろの

中国までさかのぼる。

その昔、楚(そ)の国で慕われてい

た政治家が国を追われ、川に身を投

げたところ、国民がその遺体を魚が

食べてしまわないよう、川にちまき

を投げたことから始まる。

 

これが国の安泰を祈願する祭りとして

宮中で行事化し、やがて日本へ伝わっ

たのである。

 

また、武家の風習として男の子や生まれ

た家には、強くたくましく育つように、

と「鯉の滝登り」にちなんで鯉のぼりを

掲げるようになった。

 

こうしたこどもの成長や無事を願う文化

が世界各国でみられるが、

日本でもやはり、出産時に母子が命の危

険に陥ることはもちろん、はやり病など

こどもが幼くして命を落とすことが珍し

くなかったことから、生まれて百日目に

祝う「百日(ももか)の祝い」に始まり、

猪子、毎月の午(うま)の日、つまり5日

に成長を祈願する風習などが根付いたと

いわれる。

 

 

このような大人たちの願いは、

私たちが何気なく口ずさんでいた童謡

にも込められていた。一説によれば、

童謡「しゃぼん玉」もその一つである。

歌詞は以下の通りである。

 

しゃぼん玉飛んだ
屋根まで飛んだ
屋根まで飛んで
こわれて消えた

しゃぼん玉消えた
飛ばずに消えた
産まれてすぐに
こわれて消えた

風、風、吹くな
しゃぼん玉飛ばそ

 

この歌詞が書かれたのは大正時代で、

作者である野口雨情はやはり、

当時2人の実子を幼くして亡くしている。

彼がこどもの死を悼んで書いたものとい

う関連性は定かではないものの、

やはり我が子を亡くすという体験を鑑みれば、

その心情を重ねて聴いてしまう内容である。

 

 

さて現代では、日進月歩の医療により出生時に

命を落とすこどもの割合は当時に比べて激減

している。

大正時代でいえば、20~30パーセントの

新生児が、何らかの原因により亡くなっていた

のが、令和ではその確率は1パーセントに満た

ないのである。

 

出生時の発育不全はもちろん、高度な医療技術に

より先天性のあらゆる疾患に対応できるようにな

ったのが、この数字をもたらす大きな要因である

といえよう。

 

つまり、現代の母親の大多数がこどもの死を体験

することなく、平和に子育てに専念できる時代に

なったのである。

 

ところが、「こんな幸せな時代はない」、

と手放しで喜べない懸念もある。

身体的な死の危険性から疎くなった現代人には、

その代わりに突き付けられた厄介な課題がある

といえる。「心理的な死」である。

 

安心、安全に暮らせるようになった人類は、

さらなる物質的な充足を求めて歴史を重ね

てきた。

 

 

その結果、日本ではアメリカナイズされた生活と

ともに、核家族化、少子高齢化、いじめに離婚、

虐待、情報化社会などなど、こどもたちを取り巻

く、数多くの課題が誕生してしまった。

 

近年では、ネット環境の充実により人との

コミュニケーションも選択的になったことから、

生の人間関係を体験する機会さえも減りつつある。

人と人、こころとこころの直接的な出会いや摩擦、

離別の痛みを体験することが減ってしまったので

ある。これはこどもたちの「心理的な発育不全」

を起こすのに、十分な素因となるだろう。

 

そしてそのような環境で育ったいまの大人こそが、

「心理的な死」を抱えたかつてのこどもたちなの

である。

 

繰り返されるこころの問題を断ち切り、

令和の未来を担うこどもたちの成長を願うならば、

まずは私たち大人が、物質的な充足に囚われず、

「幸せ」の価値基準を問いただすことが先決で

ある。

 

 

その点、コロナなどの未知の対ウィルス時代を迎

えたことは、ある意味でチャンスなのかもしれない。

自由に出歩けなくなり、安易に人と接触すること

ができなくなったいま、人々の価値基準は大きな

変化を遂げている。

 

ブランドもので着飾っても、流行りのメイクを

頑張っても、良い車に乗っても、それを披露す

る場が失われていく。

家に居る時間が増えたので、いい機会だから掃

除でもしよう、と思い切って断捨離をする。

会社では無駄な会議がなくなり、めんどうくさ

かった飲み会も行かなくて良くなった。

 

本当に必要な場所に赴き、本当に要るものだけ

そろえることが何やらすっきりしていいような

気がしてくるのだ。

 

きっとこの期間に、家族の形も変わったであろう。

会えなくなったひとや帰れなくなったふるさとへ

の思いも募っているだろう。

 

大切な人が命を落とすかもしれない、

自分が明日死ぬかもしれない、

命を脅かされる新鮮な感覚に、

我々の価値基準は変化せざるを得ないのである。

 

一人ひとりが、

今日という日を後悔しないように、

本当に価値のある、

守るべきものは何なのかを改め始めている。

 

大人よ。

5月に鯉のぼりを掲げ、

こどもの成長を祈願するなかに、

どうかこころの成長も含めて身近なこどもたち

を健やかな未来へと導くべく、

今一度考えを巡らせてほしい。